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コーヒーは、必ずしも新鮮なものがベストという訳ではない理由

 

摘み立て、取りたて、捌きたてなど  ~したて という言葉には魅力を感じます。朝摘みたての新鮮野菜や果物、焼きたてのパン、朝採れたての新鮮魚介などなど。

 

コーヒーも例外ではありません。時間をおいたコーヒーよりも 淹れたての方がおいしいに決まっています。それも淹れる直前に、グラインダーで挽きたてに限ります。

 

ですが、一つだけ例外があります。

 

それは、生豆からコーヒー豆に生まれ変わる作業である、焙煎 (Roasting)です。

焙煎の作業場に行くと、香ばしいコーヒーの匂いが漂ってきてすぐにでも飲みたくなってきますが、そこで焙煎したての豆を挽きたて、淹れたてで飲んでもちょっとガッカリしてしまうかも知れません。

 

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写真は焙煎したてのイメージです

 

と言うのはちゃんとした理由があります。焙煎したての豆は、たっぷりと炭酸ガスやオイルを含んでおり、エスプレッソマシーンでそのまま抽出すると特に苦みの強い、表面の泡(Crema)の多い、実にアンバランスなコーヒーが出来てしまいます。

 

 

もちろんコーヒーは嗜好品であり、好みは人それぞれですので、その味が大好きという人がいても否定はしませんし、何も問題はありません。ですがコーヒーは、苦み、酸味、香り、甘みなどが複雑に絡み合って上手くバランスの取れた状態がベストだと考えると、コーヒーとしての出来は良くないと言えるでしょう。

 

 

私は焙煎の専門家ではありませんが、焙煎士の話とバリスターの経験を総合すると焙煎後の4日、5日はまだガスもオイルもたっぷり残っているので、エスプレッソには向かず、ベストなのは7日から14日以内という事になります。ただし、エスプレッソではなく、ドリップやフレンチプレスで飲む場合はもう少し早く使っても良いかと思われます。

 

 

うちの店では、週を通して味を安定させるために、焙煎後5日から7日経ったものを1週間で使い切る分だけを配達してもらっています。大体週に36㎏から48㎏程度を使いますが、残りを出さず、不足も出さないように注文を出すのもバリスターの重要な仕事です。

 

余談になりますがプロが使う豆は基本的に、焙煎日(Roasting Date)が記載されていますが、スーパーなどで売っている一般向けの豆には賞味期限はあっても、焙煎日の記載はありません。ですが、焙煎日から約2年が賞味期限として設定されている場合が多いので例えば下の写真の、2021年の05月30日が賞味期限なら、2019年の5月30日頃に焙煎されたいたのではないかと推測が出来ます。

 

なので、スーパーなどで豆を購入する場合は極力賞味期限の長いもの=焙煎日の近いものを選ぶようにすると良いでしょう。

 

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